光と影が織りなす下町の風景 – 曳舟・京島エリア

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春の陽光が差し込む平日午後、東京都墨田区の曳舟・京島エリアを訪れました。スカイツリーの東側に広がるこの地域は、昔ながらの下町の雰囲気と新しい文化が共存する魅力的なスポット。カメラを手に、路地裏の風景や人々の暮らしを切り取る旅に出かけました。

遊び声が響く公園の風景

駅から少し歩くと、子どもたちの賑やかな声が聞こえてきました。学校帰りの子どもたちが集まる公園では、青い滑り台と黄色い遊具が鮮やかな色彩を放っています。桜の枝が上から覆いかぶさるように伸び、春の光と影が美しいコントラストを作り出していました。

公園で遊ぶ子どもたち

子どもたちは元気に滑り台を駆け上がり、順番を待つ列ができるほどの人気。近くには工事用のクレーンが見え、古いものと新しいものが混在する街の特徴を象徴しているようでした。公園の隅では、学校から帰ってきた小学生たちが、ランドセルを置いて鬼ごっこに興じる姿も。下校後も地域の中で安心して遊べる環境が残っている、そんな下町ならではの光景です。

昭和の面影が残る長屋の風景

京島地区に足を踏み入れると、時間が止まったかのような長屋の風景に出会います。白壁に黒い窓枠の長屋が、整然と並ぶ通りを歩くと、まるで昭和の時代にタイムスリップしたような錯覚を覚えます。

東京大空襲の延焼を免れたこのエリアには、古い木造建築の長屋が今も残り、細い路地が入り組んだ「木密地域」としての特徴を色濃く残しています。最近では、この古い長屋を改装してクリエイターが集まってきているとも聞きます。古い建物に新しい命が吹き込まれ、街は静かに変化を続けているようです。

キラキラ輝く橘商店街

鮮やかな青と赤のアーチが目に飛び込んできました。「下町人情キラキラ橘商店街」の入口です。カラフルな看板と丸い電球が並ぶこのアーチは、商店街のシンボルとなっています。自転車で通り抜ける地元の方の姿も様々な日常の一コマを切り取ることができました。

この商店街は昭和2年(1927年)に誕生し、全長約450mに約70店舗が並ぶ歴史ある商店街です。「下町人情キラキラ橘商店街」という愛称は1985年に公募で決まったそうですが、今では名は体を表すように、本当にキラキラと輝く雰囲気に満ちています。

商店街を歩くと、惣菜店や八百屋、肉屋など生活に密着した店舗が並び、地元の方々の買い物の場として賑わっていました。中でも早朝の朝市では、通常よりも3割以上安い商品が並ぶと聞き、次回は朝早く訪れてみたいと思いました。

昔ながらの手作りパン屋さん

レトロな看板が目を引くパン屋さんがありました。「手造りの味 八幡屋のパンとカステラ」と書かれた古い看板には、愛らしいイラストも描かれています。

赤と白のストライプの日よけが特徴的で、レトロな雰囲気を醸し出しています。窓には商品の写真や案内が貼られており、長年地域に愛されてきたお店の風情が感じられます。こうした昔ながらの商店は、地域のアイデンティティを形作る大切な存在です。どうも先代が高齢で辞めた後に若い方が後をついでいらっしゃるようです。

東武電車の踏切で感じる鉄道の息吹

商店街から少し歩くと、東武スカイツリーラインの踏切に出くわしました。ちょうど遮断機が下りるタイミングで、しばし足を止めて電車の通過を待ちます。

間もなく青い車体の特急電車が高速で通過していき、風を起こして去っていきました。踏切周辺では待つ人々の姿も様々で、学生や自転車を押す主婦、仕事帰りのサラリーマンなど、地域の生活動線としての踏切の役割がよく分かります。

最近では、この地域でも連続立体交差事業が進み、踏切の数は減少傾向にあります。とうきょうスカイツリー駅付近の高架化に伴い、今年3月には一部の踏切が廃止になったとも聞きました。街の発展とともに、こうした風景も少しずつ変わっていくのでしょう。

散策を終えて

曳舟・京島エリアでの散策は、東京の中にありながら、どこか懐かしくノスタルジックな時間を過ごすことができました。東京大空襲を免れた昭和初期の長屋が残る街並み、昔ながらの商店街、そして地域の子どもたちの日常風景など、ゆっくりと時が流れているような感覚を味わえる貴重な場所です。

このエリアは、東京スカイツリーから徒歩圏内でありながら、観光客が少なく地元の人々の生活が息づいています。都会の喧騒を離れ、のんびりと下町の風情を楽しみたい方にぜひおすすめしたい散策コースです。春の陽気に包まれた曳舟・京島での午後のひとときは、東京の多様な一面を再発見する素晴らしい経験となりました。次回は朝の光の中の街並みも撮影してみたいと思います。季節ごとに、時間ごとに表情を変える曳舟・京島の魅力をまた切り取りに訪れたいと思います。

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